生活習慣病と慢性腎臓病(CKD)の関係
[監修]東京女子医科大学 血液浄化療法科 特任教授 土谷 健 (つちや けん)先生プロフィール
「脂質異常症」と慢性腎臓病の関係
「脂質異常症」は、慢性腎臓病(CKD)の発症や進行に大きくかかわっている要因の1つです。
脂質異常症は、血液中に含まれるコレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)などの脂質が多すぎる状態を指す病気のことで、コレステロールの高い状態が続くと、余分なコレステロールが血管の壁にたまって動脈硬化を引き起こす原因となります。
このように、脂質異常症を発症してしまうと、動脈硬化が進行して腎臓を障害し、CKDなどの腎臓の病気をもたらします。
一方、CKDが脂質異常症を生じることもあります。
CKDでは腎尿細管の細胞が傷ついて、アルブミンというたんぱく質が尿に混じり排泄されてしまいます。すると身体は不足した分を補うために、アルブミンを作ります。このアルブミンを作る時には、LDLコレステロールも同時に作られてしまいます。
LDLコレステロールは、悪玉コレステロールとも呼ばれるリポ蛋白の1種です。リポ蛋白は、コレステロールや中性脂肪などの脂質が、特定のたんぱく質と結合したもので、脂質を運搬する役目を担っています(図)。
アルブミンと同時に作られたLDLコレステロールは血液中に移動しますので、血液中の脂質量が増えてしまうことになります。
このように、腎臓の病気によっても脂質異常症を発症する可能性があります。
脂質異常症の治療では、食事療法と運動療法が効果的と考えられています。
腎臓病の1つにADPKD(常染色体優性多発性嚢胞腎)という遺伝性の病気があります。腎機能を低下させる遺伝性の腎臓病について、気になる方、知りたい方はここをクリック。