日常生活で注意すべきことは?

日常生活で注意すべきことは?

推奨されるのは、飲水、適度な運動と食事療法。嗜好品やサプリメント、マッサージは気をつける

食生活では食塩・蛋白質のとり過ぎに注意し、水をたくさん飲みましょう。
適度な運動は推奨されますが、腹部に衝撃のある激しい運動は避けましょう。
適正体重の維持も重要です。
アルコールやカフェインは控え、たばこはやめましょう。
マッサージは施術者と相談をしましょう。

1)食生活で注意すべきことは?

過剰な食塩や蛋白質の摂取を控え、飲水は1日2.5〜4Lを目安に肥満にも注意

ADPKD(常染色体優性多発性嚢胞腎)では塩分のとり過ぎで血圧が上がりやすく、腎機能にも悪い影響を与えることがわかっています。塩分のとり過ぎに注意しましょう。特に高血圧の方は、塩分の制限が必要になります。

水分は積極的に飲みましょう。体内の水分が不足して脱水状態になると、嚢胞が大きくなるといわれています。また、水分の積極的な摂取が合併症の1つである尿路結石の予防にも役立ちます。1日2.5〜4Lを目安に水分をとりましょう。清涼飲料水は腎機能に影響を与える成分が含まれるものがありますので、水やお茶がよいでしょう。また、腎機能が低下している方は、医師と相談の上で水分摂取量を決めましょう。

腎機能が低下している方は、蛋白質のとり過ぎに注意しましょう。蛋白質を多くとり過ぎると、腎臓からしか体外へ排泄することができない尿素窒素クレアチニンなどが体内に蓄積し、腎臓に大きな負担をかけてしまいます。

食生活で注意すべきこと

肥満があると腎囊胞が早く大きくなり、腎機能も低下しやすくなります。カロリーのとり過ぎに注意し、適正体重を維持しましょう。腎機能が正常であれば、野菜や果物は積極的にとるようにし、コレステロールや飽和脂肪酸が多く含まれる食品は控えるようにします。

2)運動で注意すべきことは?

適度な運動が推奨されるが、腹部に衝撃のある運動は避ける

運動不足によりメタボリックシンドロームになるのは、ADPKD/多発性嚢胞腎の患者さんにとっても良くありません。高血圧や血管への悪影響が考えられるからです。日常の適度な運動を心がけましょう。ただし、腎臓が大きくなってきたら、腹部に衝撃が加わるような激しい運動は 嚢胞出血や痛みの原因にもなるので避けましょう。

運動で注意すべきこと

3)アルコールやカフェイン、たばこは大丈夫?

アルコールやカフェインはとり過ぎに注意、たばこはやめる

アルコールのADPKD/多発性嚢胞腎に対する影響はまだよくわかっていませんが、たくさんお酒を飲むと脱水しやすいので、アルコールは適量にとどめましょう。

コーヒーなどカフェインを含んだ飲み物を飲んでも腎囊胞の大きさや腎機能には影響しないと思われますが、飲み過ぎないよう注意しましょう。

喫煙者は、慢性腎臓病(CKD)の進行が早く、腎不全になりやすいことが報告されています。また、ADPKD/多発性嚢胞腎ではニコチンの摂取により腎囊胞が大きくなる可能性があるといわれています。禁煙するようにしましょう。

アルコールやカフェインはとり過ぎに注意、たばこはやめる

4)健康食品やサプリはとっても大丈夫?

健康食品やサプリの摂取は注意が必要

骨を強くするための健康食品やサプリメントにはカルシウムやビタミンDが多く含まれており、腎機能が低下している患者さんでは高カルシウム血症になる可能性があります。高カルシウム血症になると、腎機能が悪化するため、注意が必要です。

筋肉増強のための健康食品やサプリメントには蛋白質が多く含まれており、腎臓に負担がかかります。避けましょう。

健康食品やサプリの摂取は注意が必要

5)マッサージはしてもいいの?

可能ですが、腎囊胞や肝嚢胞があることを施術者に伝えて

ADPKD/多発性嚢胞腎の患者さんの6割が慢性的な腹痛や腰痛に悩まされるといわれています。マッサージはこれらの痛みをやわらげてくれる可能性がありますが、腹部や背中への圧迫により、腎囊胞や肝嚢胞が破裂して、血尿や痛みが現れることがあります。施術者にそのことを伝え、相談しながらマッサージを受けるようにしましょう。

健康食品やサプリの摂取は注意が必要