どんな病気なの?

腎臓に嚢胞ができて腎機能が低下する遺伝性の病気

常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)は、両側の腎臓に嚢胞(液体のつまった袋)ができ、それらが年齢とともに増えて大きくなっていく遺伝性の病気です。
嚢胞が増えて大きくなると、腎機能(血液中の老廃物や水分をろ過、排泄する働き)が低下していきます。
腎臓以外の臓器にも障害(合併症)が生じる全身の病気です。

1)ADPKDとは?

ADPKDはAutosomal Dominant Polycystic Kidney Diseaseの略語

ADPKDは、英語の病名であるAutosomal(常染色体) Dominant(優性) Polycystic(多発性嚢胞) Kidney(腎) Diseaseの頭文字からなる略語です。日本語の病名は、常染色体優性多発性嚢胞腎(じょうせんしょくたいゆうせいたはつせいのうほうじん)ですが、ADPKDの略語がよく使われています。

ADPKDとは
ADPKDとは

2)病気が進行するとどうなるの?

嚢胞が増えて大きくなると腎機能が低下するが、そのスピードには個人差が大きい

腎臓の嚢胞は生まれたときから少しずつ作られますが、30~40歳代まではほとんど症状がないといわれています。腎臓は背中側の腰のあたりに左右1個ずつあり、通常の大きさは握りこぶし大ほど(約150g)です。嚢胞が増えて大きくなると、腎臓の大きさは数倍になり、正常な腎臓の組織が圧迫され、腎機能が低下していきます。60歳までに約半数の患者さんが、腎臓の働きの代わりの役割を担う治療(腎代替療法)として透析療法が必要な末期腎不全になります。ただし、腎機能低下のスピードは個人差が大きく、中には生涯、腎機能が保たれる患者さんもいます。

ADPKDでは、腎臓の他に肝臓にも嚢胞(肝嚢胞)ができることがあり、嚢胞の感染や疼痛(とうつう)、腹部膨満(ぼうまん)(お腹が膨れる)などの一因となります。

嚢胞以外には、高血圧、心臓弁膜症(しんぞうべんまくしょう)、脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)(脳の血管のこぶ)などの合併症が見られることもあります。

腎臓の機能

加齢とともに両方の腎臓内で嚢胞が増加・増大すると、やがて腎臓の機能が低下していきます。一般的に症状があらわれるのは、30~40歳代とされています。

透析療法

腎代替療法としての透析療法の主なものには血液透析(左)と腹膜透析(右)があります。

3)ADPKDの患者数は?

ADPKD患者数は約31,000人、約4,000人に1人が発症

ADPKDは、遺伝性の腎臓の病気の中で患者さんの数が最も多い病気です。日本におけるADPKD患者数は約31,000人で、約4,000人に1人が発症すると推定されています。

ADPKD患者数

4)ADPKDの経過、予後は?

経過は個人差が大きく、ADPKDによる透析患者さんの予後は良好

ADPKD患者さんの経過、予後(今後の病気の見通し)は、個人差が大きいといわれており、腎機能は患者さんによって異なります。若い頃から低下している患者さんもいれば、中年になって低下する患者さんや、生涯、腎機能が保たれる患者さんもいます。同じ家系でも、腎機能が低下するスピードには個人差が見られます。

60歳までにADPKD患者さんの約半数が末期腎不全となり、透析療法や腎臓移植が必要となりますが、幸い日本の透析医療は進歩しており、腎不全のために亡くなる患者さんはほぼ見られなくなりました。

ADPKDのために透析を始めた患者さんの予後は、他の病気が原因で透析を始めた患者さんと比べて良好で、長生きする可能性が高いといわれています。