どのように発症するの?

どのように発症するの?

PKD遺伝子の異常により、尿細管の太さを調整できずに嚢胞が発生

腎臓の尿細管の太さを調整しているPKD遺伝子の異常を親から受け継いだ場合、尿細管の太さを調整できずに嚢胞ができてしまい、発症すると考えられています。

1)ADPKD(常染色体優性多発性嚢胞腎)は遺伝するの?

ADPKD/多発性嚢胞腎は遺伝子の異常が原因の病気

ADPKD/多発性嚢胞腎は遺伝性の病気です。腎臓中にある尿細管(にょうさいかん)という管の太さを調整している遺伝子はPKD(ピーケーディー)遺伝子と呼ばれますが、その遺伝子の異常を親から受け継いだ場合にADPKD/多発性嚢胞腎を発症します。

ヒトは44の常染色体と2つの性染色体を持っています。

PKD遺伝子は常染色体にあり、父親から1つ、母親から1つ受け継ぎます。そのうち1つでも異常(変異)があると発症するものを「常染色体優性遺伝」といいます。ADPKD/多発性嚢胞腎は常染色体優性遺伝性の病気です。

ADPKD/多発性嚢胞腎の原因遺伝子を受け継ぐ確率は、男女を問わず50%です。受け継ぐかどうかは受精時に決まります。

両親ともにADPKD/多発性嚢胞腎ではない場合でも発症することがあります。両親から遺伝子を受け継ぐときに遺伝子に変異が起こる(傷ができる)、すなわち突然変異で発症します。全体の約5%に相当するといわれています。

2)ADPKD/多発性嚢胞腎の原因遺伝子は?

ADPKD/多発性嚢胞腎の原因遺伝子はPKD1PKD2

ADPKD/多発性嚢胞腎の原因遺伝子であるPKD遺伝子は、PKD1PKD2の2つと考えられています。

80%の患者さんはPKD1遺伝子の異常、15%はPKD2遺伝子の異常、5%は両方又はその他の遺伝子の異常が原因とされています。「PKD1に変異がある家系」は、「PKD2に変異がある家系」よりも一般に病状が重いといわれています。しかし、同じ家系内でも病気の進行は患者さんごとに大きく異なっています。

3)親がADPKD/多発性嚢胞腎なら、子どももADPKD/多発性嚢胞腎になるの?

子どもがADPKD/多発性嚢胞腎になる確率は50%

子どもは、父親から1つ、母親から1つ、PKD遺伝子を受け継ぎます。そのどちらかが1つでもADPKD/多発性嚢胞腎の原因となる変異遺伝子であった場合、男女差はなく、ADPKD/多発性嚢胞腎を発症します。

子どもがADPKD/多発性嚢胞腎になる確率は50%です。ADPKD/多発性嚢胞腎になるかならないかは受精時に決まります。兄弟の数の半数が発症するわけではありません。受精時に原因遺伝子を受け継いだら発症し、受け継がなければ発症しません。兄弟全員がADPKD/多発性嚢胞腎になる可能性も、兄弟全員がADPKD/多発性嚢胞腎にならない可能性もあります。

子どもがADPKD/多発性嚢胞腎になる確率

4)嚢胞はどのようにできるの?

PKD遺伝子の異常に伴い、尿細管の太さを調整できなくなり、嚢胞を発症

腎臓には尿をつくる上で重要な役割を果たす尿細管という管があります。 この管の太さを調整しているのがPKD遺伝子です。ADPKD/多発性嚢胞腎ではこの遺伝子に異常があり、その結果、尿細管の太さを調整することができなくなり、嚢胞ができてしまうと考えられています。

嚢胞はどのようにできるの?