塩分量を控えてもおいしいしょうが焼きを食べたい――。ここでひと役買ってくれるのが、しょうがです。「しょうがをたっぷりきかせる」ことで、さわやかな香りとピリッとした辛みが豚肉のうま味を引き立てます。香り成分「シネオール」には食欲増進、また辛み成分「ジンゲロール」「ショウガオール」には殺菌や血行促進、体を温める作用があるといわれています。しょうがの香りと辛みを最大限に引き出すために、使う前にすりおろしておくことがポイントです。

たっぷりのしょうがに加え、さらに3つのコツをおさえると、おいしさが格段にアップします。ひとつめが「肩ロースを使う」こと。肩ロースは赤身にほどよく脂肪がのり、肉質が柔らかな部位です。特有の風味やコクがあるので、レシピの1人分70g（薄切りで3枚めやす）でも豚肉のおいしさが堪能できます。

ふたつめは「たまねぎで甘みをプラスする」ことです。たまねぎにじっくり火を通すことで甘みが引き出されます。炒める際は、たまねぎ、豚肉の順番で。味全体に深みが出ます。また、たまねぎは繊維にそって切ることで、加熱しても量（かさ）が減りにくく、見た目にも満足感が得られます。

最後のポイントは「たれは肉を焼いてから」です。あらかじめ肉をたれに漬けておくと、たれの塩分で肉のたんぱく質が固まりやすくなります。肉に香ばしい焼き色がついたところでたれを入れましょう。しっとりジューシーに焼き上がります。塩分を控えたたれは量も少なくなりますが、後から加えることで表面にからまりやすく、長時間の加熱で焦げつく心配もないので、しっかりした味わいが楽しめます。

今回はスパゲッティナポリタンと千切りキャベツを添えて、目にも舌にも満足できるひと皿に仕立てました。豚肉はビタミンB1が豊富で、疲労回復にはもってこいの食材です。ご家族と笑顔でしょうが焼きを楽しみながら、明日への活力を養っていただければと思います。