腎臓は「尿をつくる」ほか、生命・健康の維持のための重要な役割を担っています。腎臓についてよく知り、いたわる気持ちを育んでいきましょう。[監修]東京女子医科大学 血液浄化療法科 教授 / 第四内科 兼任教授 土谷 健 先生

腎臓は「尿をつくる」ほか、生命・健康の維持のための重要な役割を担っています。腎臓についてよく知り、いたわる気持ちを育んでいきましょう。
[監修]東京女子医科大学 血液浄化療法科 教授 / 第四内科 兼任教授 土谷 健 先生

生活習慣病と慢性腎臓病(CKD)の関係

第3回 脂質異常症と腎臓第3回 脂質異常症と腎臓

「脂質異常症」と慢性腎臓病(CKD)の関係

「脂質異常症」は、慢性腎臓病(CKD)の発症や進行に大きくかかわっている要因の1つです。

脂質異常症は、血液中に含まれるコレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)などの脂質が多すぎる状態を指す病気のことで、コレステロールの高い状態が続くと、余分なコレステロールが血管の壁にたまって動脈硬化を引き起こす原因となります。

このように、脂質異常症を発症してしまうと、動脈硬化が進行して腎臓を障害し、CKDなどの腎臓の病気をもたらします。

一方、CKDが脂質異常症を生じることもあります。

CKDでは腎尿細管の細胞が傷ついて、アルブミンというたんぱく質が尿に混じり排泄されてしまいます。すると身体は不足した分を補うために、アルブミンを作ります。このアルブミンを作る時には、LDLコレステロールも同時に作られてしまいます。

LDLコレステロールは、悪玉コレステロールとも呼ばれるリポ蛋白の1種です。リポ蛋白は、コレステロールや中性脂肪などの脂質が、特定のたんぱく質と結合したもの(図)で、脂質を運搬する役目を担っています。

アルブミンと同時に作られたLDLコレステロールは血液中に移動しますので、血液中の脂質量が増えてしまうことになります。

このように、腎臓の病気によっても脂質異常症を発症する可能性があります。

脂質異常症は心血管病を引き起こす原因の1つ

また、脂質異常症は、動脈硬化など心血管病を引き起こす原因の1つでもあるので、脂質異常症と診断された場合には、コレステロール値を目標値まで下げることが重要となります。

脂質異常症の治療では、食事療法と運動療法が効果的と考えられています。

食事療法では、摂取エネルギー量と、エネルギー比率の適正化を行います。

摂取エネルギー量は、年齢や生活の活動レベルによって異なります。エネルギー比率では、脂肪は健康な人と同じくらいの割合ですが、脂肪の種類は動物性ではなく、植物性・魚肉性脂肪を中心にします(※)。たんぱく質は、腎障害の程度によって食べられる量が異なり、腎障害が重くなるほど減らす必要があります。摂取エネルギー量の残りは、炭水化物で補います。

  • エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2009

腎臓を守るために生活習慣病を予防する

高血圧や糖尿病、脂質異常症だけでなく、生活習慣病全般がCKDに関係するといわれています。肥満そのものが、腎障害を起こすこともあります。

バランスのいい食事や適切な運動、禁煙など、健康な生活を送ることが生活習慣病を予防し、腎臓を守ることにつながります。

2016年10月作成
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