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私のADPKD診療にかける想い

07 患者さんのQOLに主眼をおいた様々な取り組みと治療の実際

ADPKDの疾患研究とともに、治療では総合的な医療を展開

ADPKD医療の「これまで」と「これから」

ADPKDはこれまで治療法が存在しなかったため、病気自体の診断においても積極的に行われている状況ではありませんでした。しかし近年、のう胞の増大に対する新しい治療法が開発され、早期から診断し適切な治療を行っていく流れへ変化してきています。

また、ADPKDは2014年に新たに難病に指定され、医療費助成を受けることができるようになっています。
名古屋大学でも細胞レベルでの疾患研究とともにADPKDの総合的な治療に力を入れています。

腎代替療法では腎移植が理想、患者満足度が高い腹膜透析も並行して推奨

腎代替療法が必要になった場合、一般的には血液透析が適応されるケースが多いのですが、当院ではまず腎移植や腹膜透析を検討します。

腎移植は諸条件を満たせば70歳代でも可能です。免疫抑制薬の進歩により、血液型が異なる夫婦間でも、生体移植ができるようになっています。理想をいえば腎移植の普及が望まれますが、現状はドナー臓器不足等の問題があり、急速な普及は難しいと考えられます。

移植が難しい場合、腹膜透析や血液透析を検討します。腹膜透析は患者さんご自身が1日3~4回、自宅や職場で透析液の交換を行います。通院は月に2回程度です。

一方、血液透析は通常1週間に3回、1回につき4~5時間を要します。また、血液透析は動脈と静脈をつなぎ合わせて、血液の取り出し口をつくり、腹膜透析は腹部にカテーテルを埋め込む手術をそれぞれ行います。

近年、腹膜透析は血液透析と比較して患者満足度が高く、残腎機能保持(尿量を長期間維持することができる)という特徴もあって、はじめに腹膜透析を用いて透析療法を開始するといった概念(PD ファースト)が提唱されています。腎代替療法は、血液透析、腹膜透析、腎移植のそれぞれの利点を生かした総合的な腎不全管理を行うことが望まれますが、当院では、とくに腎移植と腹膜透析に力を入れています。

おなかが大きくても可能な腹膜透析

ADPKD患者さんは、腎臓や肝臓にのう胞ができておなかが大きくなるため、腹膜を利用する腹膜透析は難しいと思われている方が少なくありませんが、実際はほとんどのケースで可能です。逆に、もともとおなかが大きいため、結果的に腹膜透析がうまくできるという印象があります。当院では腎移植までの準備のあいだに腹膜透析を行うというケースが多い状況です。

ADPKDの認知度向上に向けた取り組みと
地域における医療提供体制の構築

適切な医療を受けていただくために

現状、名古屋地区には、まだまだ治療を受けていないADPKD患者さんが多くいらっしゃると推測しています。名古屋大学ではADPKD専門外来を設けて、地域の先生方から患者さんをご紹介いただける医療体制を整えています。加えて地域の先生方との勉強会や講演会、一般の方々に対してはホームページや市民講座を通じて、ADPKDという病気自体の認知度向上につながる取り組みを展開しています。地域のみなさまに適切なADPKD治療を受けていただけるよう今後もこうした医療提供体制の構築と啓発活動に力を入れていきたいと考えています。

ADPKD患者さんにおける腎移植

ADPKD患者さんが腎不全に至り、ご夫婦間で腎移植をされたケースを何例か経験しています。旦那さんから奥さんへ、あるいは奥さんから旦那さんへというようにどちらのパターンも経験しました。その方たちには息子さんや娘さん、ご親戚にも同じ病気の方がいらっしゃいました。移植にあたっては「誰の腎臓を誰に提供するのか」という難しい決断もあったと思いますが、経験したケースではみなさん、ご家族それぞれの考えを理解し、話し合いながら治療に取り組んでおられました。このことは、とても印象に残っています。その方々はいずれも腎移植は成功し、経過もよく、今では元気に働いていらっしゃいます。

腹膜透析や血液透析を受けている人であっても、普通に生活や仕事をされている方は多くいらっしゃいます。たとえ腎不全になったとしても元気に生きることができる時代になっています。

状態に応じた最適な治療を受けていただきたい

近年、ADPKDに関する治療は進歩してきており、研究も盛んに行われています。将来的にはさらに新しい治療法が生まれてくることにも十分期待できます。ADPKDでは初期に脳動脈瘤を発症するケースがありますが、その予防も可能です。以前は手術でしかできなかった対応が、血管内治療などで対応できるケースもあります。治療できるようになったことで、患者さんはより前向きに何事にも取り組まれるようになった印象があります。 ADPKDの可能性があれば早期のうちから専門医を受診し、その患者さんに応じた最適な治療を受けていただきたいと思います。

ADPKDの病態と患者さんの生活に向き合いながら、
最適な医療介入を考える

他科で見つかるADPKD患者さんは少なくない

現在、当院の腎臓内科を受診されている保存期腎不全のADPKD患者さんは40人程いらっしゃいますが、他科に通院されていても、ご自身がADPKDであることを認識されていない方が少なくありません。遺伝歴がなくても、健診で腎臓や肝臓にのう胞が偶然発見されるケースや、循環器内科や泌尿器科で偶然調べたらのう胞が見つかったというケースも多くあります。

このように腎臓内科を受診されていない潜在的なADPKD患者さんがみえると考えていますので、関連する科の医局には、ADPKDが疑われる方がいらっしゃったら治療の要否にかかわらず、一度腎臓内科への受診を促していただくようにお願しています。

またADPKDを診断する際の問診では、ご家族やご親戚の病歴などについて詳しく伺うようにしています。「そういえば、母親の血圧が高かった、祖父がくも膜下出血で入院したことがある」など、手がかりとなる内容を思い出していただくことがあります。

ADPKDと診断がついた場合は、合併症を確認する目的で脳動脈瘤の有無の確認と、心臓のエコー検査を行っています。

最適な介入の方法を患者さんと一緒に

同じADPKD患者さんでも病気の段階は様々ですので、外来では患者さんの状態に応じた適切な診療を心がけています。ご自身の現在の心情や将来のライフプランなどを伺い、病態と生活状況を照らし合わせながら、最適な治療方針を患者さんと一緒に考えていくようにしています。

私たち医師の重要な役割の一つとして、可能な限り患者さんの不安を取り除くということが挙げられます。患者さんとの会話では、必要以上の心配を抱いていただかないように配慮しています。

おなかの膨満感を軽減する腎動脈塞栓術、お困りの方はご相談を

ADPKD患者さんの訴えの中で多いのが、腹満感です。腎のう胞、肝のう胞の腫大によって起こりますが、これにより歩行や着替えなど日常生活に支障が生じたり、胃腸が圧迫されて便秘や食欲不振により低栄養になることもあります。このような症状を軽減する目的で行われる治療が動脈塞栓術です。

腎動脈塞栓術は、腎動脈内に塞栓物質(金属コイル)をカテーテルで挿入し、腎動脈の血流を遮断する血管内手術です。塞栓によって腎臓が縮小し、腹満感の緩和が期待できます。

この手術は基本的に、すでに透析療法を受けていて尿量が1日500mL未満の方が対象となります。適切な時期を見極めながら実施することが重要です。当院でも腎動脈塞栓術に対応いたしますので、腹満感でお困りの方は、ぜひ一度ご相談していただきたいと思います。

患者さんのニーズやメリットを重視した腎代替療法

腹膜透析のしくみとメリット

ADPKDの患者さんが末期腎不全に陥った際には、全ての腎代替療法の中から、患者さんの状況に適した方法を検討いたします。全体として血液透析が選ばれる割合が高い中で、当院では生活の満足度が高く、残腎機能が比較的保持される腹膜透析も推奨しています。

腹膜透析は、腹膜(胃や肝臓といった臓器をおおっている膜)を利用して、体にたまった水分や尿毒素などを取り除く方法です。おへその横あたりに留置した管から透析液を注入し、数時間貯留します。すると腹膜から余分な水分や尿毒素が透析液に移行するので、その後透析液を捨てて、新しい透析液に入れ替えます。これを一定の時間をおいて繰り返します。

腹膜透析では、透析導入後も尿量が保たれやすいと言われています。その残った腎機能と腹膜透析の両方で老廃物を取り除く形になるため、マイルドでとても良い治療だと考えています。

血液透析のように頻回な通院の必要はなく、ご自身で透析液を交換するため、患者さんの社会復帰という点でもメリットがあります。また高齢化社会が伸展する中、在宅医療でも有用性が高いとされています。

腹膜は劣化しますので何十年も続けられる治療ではありませんが、他の腎代替療法へ移る際にも、残腎機能が保たれやすいという観点から、順番としてまず腹膜透析から始め、そのあと血液透析に移行するほうがメリットは多いと考えています。

実際の腎代替療法の進め方としては、適切な腎代替療法をご選択いただくため、腎移植、腹膜透析、血液透析の3つの治療法を紹介させていただきます。ご希望に応じて1週間程度の腎不全教育入院を通して、実際の腎代替療法を見学していただくことも可能です。そのうえで、ご自身のご要望や生活スタイルにあったものを選んでいきます。

腹膜透析をより安全に行っていただくための取り組み

名古屋大学および関連施設では、愛知県下で高齢者の方を含む腹膜透析が、在宅でより安全に実施できるよう訪問看護ステーションの育成や、在宅医療を実施されている地域の医師、在宅療養支援所・介護施設との連携に力を入れています。

また、全国の医療関係者を対象に、腹膜透析の教育プログラム(腎不全・腹膜透析教育プログラム)を開催し、腹膜透析療法の質の向上に向けた取り組みも展開しています。

新たな治療法の登場を契機に注目されてきたADPKD

ADPKDはこれまであまり治療に対して焦点が当たって来なかったという状況があったと思います。そこへ、腎機能を温存するための治療が登場したことが契機となり、病気に対する知識が患者さんのみならず、社会全体に広まりつつあります。面白いことに医療従事者、研究者の意識までも高まって来ていると感じています。そうしたなかで今後、病態の解明や治療薬の研究がさらに加速していくことを期待しています。

ADPKDは、単一遺伝子疾患としては最も頻度の高い病気の一つといわれています。その点では患者さんも比較的多く、患者会などを通じて色々な相談ができるかもしれません。しかしその一方で、悩みを抱え込んでいる方も少なくないと考えています。かつて私の個人的な知り合いでADPKDをお持ちの方から、ご家族に対する気持ちや色々な心配ごとを伺う機会があったのですが、日常診療の中でそのすべてを医師に伝えていないことを知りました。

ADPKDとはどのような病気か、今必要なことは何かなど、話を聞くだけでも良いので、悩みをお持ちの方はぜひ、お近くの専門外来を受診していただきたいと思います。

ご夫婦間でも血液型が異なっても可能な腎移植

生活の質の向上が大きく期待できる腎移植

腎移植とは、末期腎不全の患者さんに他人の腎臓を移植して、その人の腎臓として機能させる治療です。腎移植がうまくいけば透析療法は不要になり、生活の質(QOL)が大きく向上します。

透析療法で出現しやすい骨代謝異常、皮膚の色素沈着、血圧低下、全身のかゆみなどの合併症は腎移植ではほとんど見られなくなります。また、透析療法では飲水量が制限され、食事内容もカリウムやリンなどの摂取が厳しく制限されますが、こうした制限も腎移植では比較的軽く済みます。閉経前女性では腎移植後月経が回復するだけでなく、移植腎機能がよければ妊娠・出産が可能となります。

医療に拘束される時間が短いこともメリットです。腎移植後安定期に入れば1~2か月に1回の通院で済みます。海外旅行や出張の制限もなく、仕事や学業に専念したい方などからのご要望が多い状況です。

腎移植後は拒絶反応を抑えるため、免疫抑制剤を飲み続けながら自己管理をしていきます。

ご夫婦間やご高齢者で増加している生体腎移植

腎移植には、ご家族などから提供していただく生体腎移植と、亡くなられた方からいただく献腎移植があります。日本においては約9割※1が生体腎移植であり、近年、この生体腎移植では血液型の異なる腎移植、特にご夫婦間の腎移植が増加しています。移植技術の進歩と薬剤の開発により、現代は血液型が不適合の場合でも移植ができるようになっており、生着率※2も血液型適合の場合と同等の結果が得られています。ご夫婦間での移植が増えている背景には、このような医療進歩があると考えられます。

最近では糖尿病などが原因の末期腎不全が増えており、その動向に伴って高齢者の腎移植も増加しています。腎移植は特に年齢で制限されるわけではなく、検査や前準備を経て、全身状態に問題ないと判断できた場合は可能となります。ご高齢の患者さんすべてが対象になるわけではありませんが、70歳以上で移植可能な場合もあります。

※1 日本移植学会 2016臓器移植ファクトブック
※2 生着率: 移植した臓器や組織が施術後に機能している割合

透析治療を開始する前でも可能

日本の腎移植の9割を占める生体腎移植は、基本的に透析療法後に適応されますが、透析治療を開始する前でも可能です。これを先行的腎移植といいますが、透析療法を行ったのちの移植と比較し、生着率や生存率が優れているとされています。その理由として、慢性腎臓病(CKD)にみられる動脈硬化の進展が少ないことなどが挙げられています。

当科では1973年に腎臓移植を開始して以来、現在までに1000例以上の腎臓移植を行っています。2012年度に生体腎移植を受けられた患者さんのうち、約3割の方が先行的腎移植でした。また約4割が血液型の異なる組み合わせで行われていました。

腎移植の適応条件と移植後の患者さんの声

腎移植を受けるレシピエントと、提供するドナーの条件

腎臓を移植される人をレシピエント、提供する人をドナーといいますが、レシピエントには以下のような条件があります。

① 悪性腫瘍がないこと(ただし、過去に悪性腫瘍の治療歴があっても、数年間再発が無ければレシピエントになることができます)。
② 移植手術に耐えることができる体力(心臓や肺の機能など)があること。
③ 活動性の感染症(肺炎など)がないこと(感染症の治療が済めば移植手術を受けることができます)。
④ 生体腎移植の場合、自発的に腎臓を提供してくれるご家族がいること。

なお、献腎移植の場合、日本臓器移植ネットワークに献腎移植を希望する旨の登録を行う必要があります。ただ、現在わが国では腎提供の献腎希望登録者数が少なく、献腎移植の待機期間が約15年という長期間を要する状況になっています。ADPKD患者さんでは、献腎登録をして、その間、薬物療法や透析療法を受けて待機している方もいらっしゃいます。

ドナーはご夫婦や親戚の方で、自ら腎臓提供の意思がある人が対象となります。年齢は20歳以上で健康体であることが必要となります。患者さんの友人や善意の第三者の方が、ドナーとして腎臓を提供したいと希望しても生体腎移植はできません。日本移植学会の倫理指針では、生体臓器移植は親族からの提供に限るとされており、親族とは6親等以内の血族、3親等以内の姻族と定義されています。実際には、両親や兄弟(姉妹)、配偶者からの移植が多く行われています。

腎移植に関する医療費は健康保険の適用となります。自己負担分は医療助成制度(障害者医療費助成制度、更生医療、特定疾病療養制度)により大幅に軽減されます。ドナーの医療費はレシピエントの健康保険で支払われるためほとんど負担はありません。

移植をされた患者さんの笑顔はやりがいにつながる

ADPKD患者さんの移植では、遺伝性疾患という背景があるため、親御さんが責任を感じられて、お子さんへ腎臓を提供されるケースが少なくありません。お子さんが元気になられると親御さんは外来のたびに何度も感謝のお言葉を掛けてこられます。また、ある男性の患者さんは移植後、透析療法のためにあきらめていた趣味のゴルフを再開できるようになったと大変喜んでおられました。

腎移植では膨張したのう胞腎を残すことが多いのですが、移植後、残した腎臓は20~30%小さくなります。これにより腹満感や張りが緩和され、日常生活が楽になったと喜んでくださる方もいらっしゃいます。

このような言葉をいただいたり、患者さんの喜ばれているご様子を目にすると、こちらも非常にやりがいを感じます。

腎移植は敷居が高く、とてもお金がかかる医療と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、健康状態がある程度維持されていれば、受けられる治療であり、実はそれほど敷居は高くありません。費用面においても医療補助制度が充実していますので、自己負担はきわめて少なく済むようになっています。腎移植に関して分からないことがある場合は、腎移植を行っているほとんどの施設で、受診の前に無料で相談できる機会を設けていますので、お気軽にご相談ください。

名古屋大学大学院医学系研究科 腎臓内科学 教授 丸山 彰一 先生

経歴

  • 1989年名古屋大学医学部卒業
  • 1997年名古屋大学大学院医学研究科 腎臓内科学博士課程修了
  • 2003年名古屋大学大学院医学研究科 腎臓内科学助手
  • 2005年名古屋大学大学院医学研究科 腎臓内科学講師
  • 2011年名古屋大学大学院医学研究科 腎臓内科学准教授
  • 2016年名古屋大学大学院医学研究科 腎臓内科学教授
名古屋大学医学部附属病院 腎臓内科 病院助教 加藤 規利 先生

経歴

  • 1999年名古屋大学医学部卒業
  • 1999年名古屋第一赤十字病院
  • 2004年衆済会増子記念病院
  • 2005年名古屋大学医学部医学系研究科
  • 2012年名古屋大学医学部附属病院
名古屋大学大学院医学系研究科 外科系泌尿器科学 講師 加藤 真史 先生

経歴

  • 1996年神戸大学医学部卒業
  • 2002年名古屋大学大学院医学系研究科 外科系泌尿器科学博士課程 修了
  • 2010年名古屋大学大学院医学系研究科 外科系泌尿器科学助教
  • 2012年名古屋大学大学院医学系研究科 外科系泌尿器科学講師
名古屋大学医学部附属病院 移植連携室 移植コーディネーター 山口 尚子 さん

経歴

  • 2009年名古屋大学医学部附属病院 移植連携室 勤務
  • 2012年日本移植学会認定 レシピエント移植コーディネーター取得

臓器移植に横断的にかかわる
移植コーディネーターの役割

山口尚子 さん 名古屋大学医学部附属病院 移植連携室 移植コーディネーター

臓器移植の医学的・社会的な問題に横断的にかかわる

現在、名古屋大学病院では腎臓・肝臓の移植を行っています。移植連携室はこれらの臓器移植に共通する医学的・社会的な問題に横断的にかかわり、スムーズに移植が進むよう調整を図っています。移植連携室には面談スペースを備え、移植コーディネーターが患者さんやご家族からの移植に関する相談を受けたり、説明を行っています。

また、地域の医療機関から患者さんの紹介に関する問い合わせをいただくこともあります。
こういった紹介の情報をもとに、できる限り初診の段階から積極的に関わるようにしています。
移植連携室には私を含む専任の移植コーディネーターが2名常駐しています。

患者さんが治療法を選択される際に十分な情報提供を行う

移植は、レシピエント(臓器の移植を受ける人)やドナー(臓器を提供する人)候補の方に選択していただく治療であり、移植コーディネーターは、すべての患者さんに移植を勧めるのではなく、必要な情報を提供して治療選択のお手伝いをする仕事と考えています。十分検討していただけるよう移植治療の特性やメリット・デメリットなどについてわかりやすく詳細な情報提供を心がけています。また、移植を検討されている方の心配事の一つとして、手術や入院にかかる費用の問題があります。こうした費用面での情報提供も丁寧に行っています。

移植スケジュールの決定は医師が行いますが、私たちは患者さんやドナーの方からご希望をうかがったり、サポートするご家族の情報なども聴取し、移植チームで共有しています。それらの情報を総合的に検討し、どのように進めていくかを決定します。移植治療は患者さんとドナーの方の心理面や社会背景なども十分考慮して進められます。

疑問や不安を抱える患者さんに対して心がけていること

移植連携室に気軽に来ていただいたりご連絡いただけるよう、患者さんには移植連携室の連絡先が明記された名刺をお渡ししています。また、診察時に医師に聞きそびれてしまったことや、よく理解できなかったことなどをお尋ねして、その内容を医師にフィードバックしながらフォローしています。説明させていただく際には、資料を活用し、わかりやすい言葉で行うように心がけています。

ドナーの方に対する心身のケアも十分に

移植治療が他の治療と大きく異なることは、ご自身以外の誰かから臓器提供を受けるという点です。その部分で私たち移植コーディネーターが大切にしているのが生体ドナーのケアです。レシピエントの病状ばかりに注目が集まり、ドナーの心情や身体的な辛さについては、置き去りにされてしまう場合があります。レシピエントの方の移植前後のケアはもちろんですが、ドナーの方に対する心身の十分なケアが必要と考えています。また献腎、生体、どちらで移植を受けた場合にも、レシピエントの方にはドナーの方の尊い意思に感謝して、提供された臓器を大切にすることを常に忘れないよう伝え続けていきたいと思います。

腎移植をご検討されている方へ

移植後には拒絶や感染症の心配があるため、不安になることもあると思いますが、定期的な通院や医師の指示通りに免疫抑制剤を内服する、異変を感じたら早めに受診する、という適切な対応で、それほど怖がる必要はないと思います。併せて規則正しい生活や、手洗い・うがいのなどの感染予防も重要です。

当院では、腎移植後の患者さんを対象にした患者会「ハッピーつるまめ会」があり、講師の先生を招いて感染予防や適切な運動など、毎回テーマを変えて勉強会を開催しています。患者さん同士で情報交換を行ったり、腎臓内科と泌尿器科の医師、私たち移植コーディネーターや看護師も出席し、患者さんと医療スタッフの交流も深めています。移植を検討されている方が、この会に参加されるケースもあり、移植を受けた人の体験談を直接聞けるというメリットも得られているようです。

ADPKD患者さんへ向けたメッセージ

ADPKD 患者さんは、ご自身だけではなく、お子さんへの遺伝などに関して少なからず不安を感じているケースがあると思います。現代は、インターネットなどで色々なことが調べられますが、その反面、情報が多すぎて、かえって不安になることも多いと思います。不要な不安を抱かないためにも、ぜひ、専門医を受診して、ADPKD に関して正しい情報を得ていただきたいと思います。

ADPKD と診断されても進行の具合はさまざまです。将来、治療選択が必要になったときのために、腎移植がどういうものか知っておくのもよいと思います。当院では今すぐ移植が必要ない方に対しても、説明やご相談を受け付けていますので、お気軽にお問合せいただきたいと思います。

2017年4月作成
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